ご相談のきっかけ
鶴ヶ島市にお住まいの80代女性のご家族から、相続についてのご相談をいただきました。
相続人の方が固定資産税の通知書を持参され、
「不動産の評価額はここに書いてある金額を合計すればいいんですよね?」
と質問されたことがきっかけでした。
一見もっともらしく思えるのですが、相続の場面ではこの金額をそのまま使うとは限りません。

固定資産税評価額=相続の評価額ではない
固定資産税通知書に記載されている金額は
👉 固定資産税を計算するための評価額 です。
しかし、相続の場面では目的によって使う価格が変わります。
不動産の価格にはいくつもの基準があり、これを
「一物四価(いちぶつよんか)」 と呼ぶこともあります。
| 価格の種類 | 使われる場面 |
|---|---|
| 実勢価格(時価) | 売買するときの市場価格 |
| 相続税評価額 | 相続税を計算するとき |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税の計算 |
| 公示地価・基準地価 | 公的な価格指標 |
つまり、同じ土地でも目的によって価格が違うのです。
相続税評価は「路線価方式」か「倍率方式」
相続税の計算で使う不動産の評価額は、国税庁の基準に従います。
■ 路線価方式(市街地の土地)
道路に面している土地には「路線価」が設定されています。
土地の面積や形状などを加味して評価額を計算します。
👉 固定資産税評価額とは別物です
■ 倍率方式(路線価のない地域)

路線価がない地域では、
固定資産税評価額 × 国税庁が定める倍率
で計算します。
ここが大きなポイントです。
たとえば田・畑・山林などは
倍率が高く設定されていることもあり、
📌 固定資産税評価額より相続税評価額の方が高くなる
というケースも珍しくありません。
「通知書の金額で大丈夫」と思っていると、
後から「思っていたより評価が高かった」ということも起こります。
民法の「時価」とは何か?
相続人同士で遺産を分ける場合、
民法では**「時価」で分割するのが原則**とされています。
では、この「時価」とは何でしょうか?
✔ 実際に売れるであろう市場価格
✔ 不動産業者の査定価格
✔ 近隣の取引事例
などをもとに判断されますが、
法律上きっちり決まった金額があるわけではありません。
つまり、
-
相続税評価で分けるのか
-
実際に売れる価格(時価)で分けるのか
について、相続人全員で合意することがとても重要になります。
今回のご家族の場合
今回のご相談でも、当初は
「固定資産税の金額を足せばいいと思っていました」
とのことでしたが、評価の違いをご説明したところ、
「そんなに種類があるとは知りませんでした…」
と驚かれていました。
特に不動産が複数あり、土地の種類も混在している場合は
評価方法によって金額が大きく変わる可能性があります。
相続で大切なのは「価格」よりも「合意」
不動産の評価には正解が一つあるわけではありません。
大切なのは、
✔ 税金の計算のための評価
✔ 分割のための評価
それぞれの違いを理解した上で
相続人全員が納得できる基準を選ぶことです。
知らずに話を進めると、
「そんな金額は聞いていない」
というトラブルにもつながりかねません。
まとめ
相続における不動産の価格は、
-
固定資産税評価額
-
相続税評価額
-
実勢価格(時価)
といった複数の基準があり、目的によって使い分けが必要です。
「通知書に書いてある金額=相続の金額」ではない
ということを知っておくだけでも、将来のトラブル予防につながります。
📩 わかばでは、
不動産の評価の違いから相続手続き全体の流れまで、
ご家族の状況に合わせて分かりやすく整理するお手伝いをしています。
「何から確認すればいいのか分からない」
そんな段階からでもお気軽にご相談ください。
