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不動産 親から子へ揉めずに渡すには?

そんな不安を抱える方が増えています。相続の際に家族が揉めることを避けるため、生前に不動産を子どもに渡す方法を考えるのは、とても有効な終活の一つです。

 

今回は、実際のご相談事例を参考にしながら、不動産を渡す主な方法である**「贈与」「売買」**について、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

贈与で不動産を渡すメリットとデメリット

生前に「贈与」することで、自分の意思を反映させながら、不動産を子どもに引き継ぐことができます。

●贈与のメリット

  • 自分の意思で渡せるため相続時のトラブル防止になる

  • 遺言書のように将来の話ではなく、「今すぐ」形にできる

  • 子どもも早期に資産活用できる

実際に、S県にお住まいの石塚隆様(仮名)は、自宅を長男の和夫様生前贈与することで、ご自身の考えに沿った相続対策を進めました。

 

●贈与のデメリット

  • 贈与税の負担が重い(特に評価額が高額な場合)

  • 登録免許税が相続より高い(贈与は2%、相続は0.4%)

  • 不動産取得税がかかる

  • 子どもが取得後は固定資産税の納税義務が発生

 

ただし、これらのデメリットを軽減する制度もあります。代表的なのが次の「相続時精算課税制度」です。

相続時精算課税制度とは?贈与の負担を軽減できる制度

贈与税の負担が心配…という方に注目されているのが、相続時精算課税制度です。

この制度を使えば、2,500万円までの贈与が非課になります。贈与時には税金がかからず、最終的には相続時に精算される仕組みです。

内容 詳細

適用対象

 60歳以上の親→18歳以上の息子
非課税枠 合計2,500万円まで
贈与時 税金なし(申告は必要)
相続時 贈与分を含めて相続税を計算

石塚様のケースでは、この制度を活用して負担を抑えながら贈与を実行できました。贈与税を避けつつ、生前に資産を渡したい方には非に有効な制度です。

売買で渡す方法の特徴とは?

もう一つの方法が「売買」です。親が子に不動産を売ることで、名義を移転します。

 

●売買のメリット

  • 贈与税がかからない

  • 子どもに資金がある場合は、親の後資金にもできる

  • 市場価格よりも安く売れば、費用負担を抑えられことも

例えば、不動産の評価が低かったり、老朽化している物件などは、売買の方が手軽なケースもあります。

 

 

●売買のデメリット

  • 売買契約書やお金のやりとりが必須

  • 適正な価格でないと、実質は贈与」と判断され課税リスクも

  • 売買後は子どもに固定資産税と不動産取得税の負担が発生

売買は一見簡単そうに見えて、税務上の注意点が多い方法でもあります。名義を変えるだけの目的で「形だけの売買」をすると、かえって税務調査で指摘を受けるおそれがあるので要注意です。

生前に不動産を渡すには、制度の理解と準備がカギ

不動産を親から子に渡すには、「贈与」か「売買」というきく2つの方法があります。それぞれに税金・続き・リスクがあるため、事前に十分な比較検討が必要です。

そして、贈与による負担を軽くするためには、相続時精算課税制度の活用がとても有効です。

 

実際に活用された石塚様のように、生前に想いを込めて不動産を託すことは、家族の未来の安心にもつながります。

 

将来の相続トラブルを避けるためにも、まずは専門家に相談して、自分に合った方法を見つけましょう。